#47『月曜日のアステリスク*』メイキング
【2017.2.2記】
動画を投稿したのでいつも通りメイキング書きます。何かの足しになれば幸いです。
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目次
1. 制作経緯
2. 技術的なこと
2.1. カット別メイキング(After Effects / Blender)
2.2. 色彩とエフェクト
2.3. フォント
3. 参考文献・映像
4. 反省と今後の課題
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1. 制作経緯
漫画版NEWGAME! 3,4巻を読んで青葉ちゃんに元気と勇気をもらったので、「2次元キャラが人類(私)を救う」というテーマ(?)で制作を始めました。曲にアニメ版EDのNow loading...!!!!を選んだのは単に気に入っていたからです。
画作りに関しては、SHAFTの尾石達也さん的な映像を真似して作ってみたいと常々考えていたのでモノトーン実写×彩度高めのCG合成でいこうと決めました(3. 参考文献・映像にて後ほど紹介)。
2. 技術的なこと(カット別)
2.1. カット別メイキング
[***]でくくったものはAEのエフェクト名です
2.1.1. 動く背景
空撮ぽい映像を取り入れたいと思い、Google マップの空撮写真(立体表示)をマウス移動させたものをデスクトップキャプチャーした映像を取り入れました。ちなみに場所は阿佐ヶ谷駅横の大通りを南進して南阿佐ヶ谷駅(東京メトロ)方面に向かうところで、青葉の通勤ルートのモデルとなっているとのこと。
2.1.2. メンバー
気に入っているカットです。各キャラが何かしら物思いにふけっていそうなシーンにしたかったので、こちら側に注意が向いていない(=カメラ目線でない)絵を使用しました。場所は阿佐ヶ谷駅からすぐの阿佐谷パールセンターの入り口付近です。背景の2つの数字はこの写真が撮影された位置(Googleストリートビューで参照可)です。
2.1.3. 電光掲示板
青葉が乗ると思しき京王線新宿行の電光掲示板をイメージしてます。新宿行の下には「***行」とありますが、夢とか希望を暗示しているつもりです。
▲最終形
↓ +[CC Ball Action] LEDぽく見えるようにテキストレイヤーを粒状に加工。
↓ +[グロー]
↓ +[ディスプレイスメントマップ] ノイズ表現
▲別コンポジションで作成した電光掲示板
映らないからと言って新宿・京王線方面とかよくわからない単語を書くのはやめよう
2.1.4. 地球と月
隕石(苦しみ)が地球に向かって落ちてゆくシーンです。実際の隕石ではなく漢字の「月」にしたのは端的でわかりやすいからです。それから、なんとなくこの文字を目にすると憂鬱な気分になりませんか。そしてそれが空から降ってくる…恐怖です。
Blenderで作成。Blender Guru氏のチュートリアルを参照してください。そのまんまです。
▲最終形
2.1.5. 漫画っぽい効果
夢うつつな青葉のカットです。
[カートゥーン]+[抽出]+[塗り]+[ブラインド]の組み合わせ技です。
▲最終形
▲[抽出]で元画像の白っぽい部分を残して[塗り]でべた塗り
▲上よりも少し暗い部分を[抽出]で抜き取って上に重ねる。着色は同様に[塗り]。
▲上のレイヤーを複製し[塗り]で濃い青に着色し、[ブラインド]を2回適用してトーンぽくする
▲[カートゥーン]エフェクトで線画を抽出し上に重ねる
▲ [Magic Bullet Looks]でパパッと色調補正&色収差追加
2.1.6. スカイツリー
スカイツリーよりも高みを目指して伸び続ける4人をイメージ。
Blenderで作成。縦に伸びるラインは円形メッシュをモディファイア[スクリュー」で螺旋状にして上側に伸ばしつつZ軸回転させて上昇してる様に見せてます。
▲最終形
▲パラメーター
2.1.7. *キューブ
社会人の希望の力を集めて作った結晶をイメージしたもの。平たく言えば元気玉です。
Blenderで作成。手順は以下の通りです。
① 4色の*を作成し、グループ化する
② ICO球にパーティクルを適用して、ICO球の内部に①のグループを発生させる
(このときすべての*は任意の軸に対して正面を向いている…はず)
③ X,Y,Zすべての軸方向に*が向くようにICO球をあと2つ複製して角度を変えて配置する
④ パーティクルの初期方向のランダム値にキーフレームを打ち、
*の方向が整っていくアニメーションを作成する
2.1.7. 浮かぶ*キューブとクソでかキャラ
生成したキューブが「月」を打ち壊す直前のシーン。凛々しく神々しく佇む4人の姿が気に入っています。上手くは言えませんが、4人の前へ進もうとする意志が僕たちの小さな意思(*)を集め、壁を作り、町を守ってくれている…そういう感じです。
また、月が落ちてくるということで、特には関係がないのですが構図がN64のゼルダの伝説ムジュラの仮面のラストシーンのオマージュになってます。キャラの向きとかも揃えられれば良かったんだろうけど、都合のいい画像が見つけられませんでした…。
▲[CC Light Burst]で光差す画に。
▲ゼルダの伝説ムジュラの仮面のラストシーン。味方の巨人が落ちてくる月を受け止めようとしているところ
私の青春のゲームソフトのうちの1つです。懐かしい
2.2. 色彩と雰囲気づくり
映像ラストのクレジットにも記載しましたし、そうでなくても見た目でお気づきの方は多いと思いますが、本作はSHAFTの演出家、尾石達也さんの映像を意識してます。具体的にはモノトーン背景に彩度の高いオブジェクトやキャラ絵などを配置していき、色に対する印象が強くなるようにしました。
キャラクターのイメージカラーとして、RGB [200,0,0]の赤色をベースに、色相を変化させたものを4色用意しました。基本はこの4色+うすい灰色を使っています。(しかしながら、mp4エンコードの際に彩度が著しく劣化するのでとても悔しいです)
また、実写映画っぽさを演出するためにシネマスコープ(2.35:1)を採用し、やや全体を暗めに、白色は薄い黄色に、黒色は青み掛かるようにトーンカーブで調整しました。
補足ですが、今回はいつもと違ったノイズ表現(特別な意図はない)のためにAE Pixcel Sorterというプラグインを利用しています。
https://www.flashbackj.com/aescripts/ae_pixel_sorter/
以下は参考映像。というかもろぱkrました
▲化物語「ひたぎクラブ」OP
白黒モノトーンの背景に彩度高めのシェイプが合成されており、色彩が対照的で美しいです。
画面全体の色を抑制することで、色に対して敏感になれる気がします。放映当初は手抜きと言われていましたが、アニメOPでは真新しく興味をそそる映像に仕上がっていたのでOPとしては成功していたのではないでしょうか。
2.3. フォント
今回は以下のフォントを主に使用しました。マキナスがとてもかっこいい。いずれもフリーフォントです。
・Bellerose
・游ゴシック
・超極細ゴシック
・マキナス
・数式フォント
・Bummer Condensed Italic
3. 参考文献・動画
ここからアニメOP/ED
▲ネギま!? OP v1
無限に積まれた机に中二心をくすぐられます
▲ネギま!? OP v2
こちらは漫画っぽい演出のバージョン。トーンはいい意味で卑怯な表現であることに気が付きました
▲まりあほりっくOP
カラフルでいて主張しすぎない色遣いがすこ
▲これはゾンビですか 2期 OP
フォントから尋常でないダサさが滲み出ていますが実写とサビのカメラワークがかっこいいです!
▲東京レイヴンズED
EDゆえか動きは少なめ。実写を取り入れておしゃれな雰囲気を演出。良いですね
▲ひだまりスケッチ×☆☆☆ ED
曲と相まってサビ直前の桜が舞うカットには高揚感があります。
参考というよりはインスピレーションを受けたという言い方の方が正しいかも。
おまけ
▲制作中に10周くらい観た。狂おしいほど好き
4. 感想と反省点
制作期間は4か月。いつもよりは丁寧に作れたような感じがします。色彩や各カットの構成も時間をかけて練った甲斐がありました。
ただ、積極的に導入したBlenderですが、モデリング周りは全く手を付けてないので技術向上とはいかなかったように思えます。次はもう少しその辺りに挑戦してみます。
それはさておき、冒頭でもお話しした漫画版NEW GAME! 3,4巻がとにかく素晴らしいので是非読んでみてください。青葉の夢に対するひたむきな態度と周囲のメンバーとの温度差、そして才能や努力でもってしても越えられない壁があるという現実が端的に描かれています。なぜ青葉はそんなにも頑張れるのか?私にもわかりませんが、ただ一つ言えることはそんな真直ぐに頑張る人を見ると自分も不思議と頑張れる気がしてくることです。日常系漫画なんてただの甘やかしだという人もいるかもしれませんが、頑張る気を起こしてくれた分、確かにこの漫画は私の糧になった気がします。「月曜日のアステリスク*」を最後まで作りきれたことが、なによりもその証左となるでしょう。
それでは、少し長くなりましたがお付き合いいただきありがとうございました!またお会いしましょう。